第6章 「満州国」
第1節 「新国家」建設の階段
熱河省は従来満州に於ける政治的変動に対し中立を維持し来れり。熱河省は内蒙古の一部分なり。目下三百万以上の支那人移民同省内に住居し漸次遊牧蒙古人を北方に追放しつつあるが蒙古人は依然として伝統的部族又は旗人組織の下に生活す。約百万を数ふる斯種蒙古人は奉天省の西部に居住する蒙古旗人と若干程度の関係を保持し来れり。
奉天省及熱河省の蒙古人は「盟」を組織したるが其の中最も有力なるものを「チェリム」盟と為す。チェリム盟は独立運動に参加せるが従来しばしば支那の支配より免れんと試み来れる「バルガ」地方即ち黒龍江省西部の「コロンバイル」の蒙古人も亦同運動に参加せり。
蒙古人は容易に支那人と同化せず。彼等は自尊心強き人種にして皆「チンギス」汗の偉業及蒙古武人の支那制服を記憶し居れり。彼等は支那人の支配を受くることを悪み殊に支那移民の来住を好まず。蓋し右移住に因り蒙古人は漸次自己の領土より駆逐せられ居ればなり。熱河省のチチハル及チョサツの両盟は奉天省の各旗と連絡を取り居れるか後者は今や委員会に依り支配せられ居れり。熱河省の主席湯玉麟は9月29日同省に対する全責任を執り満州に於ける同僚と連絡を取り来りたる由なり。3月9日の「満州国」建国に当り熱河省は新国家に包容せられたるか、実際に於いては同省政府は何等決定的措置を執ることなかりき。同省に於ける最近の出来事に付いては前章の末尾において言及するところありたり。
以上の如くにして各省に設立せられたる地方自治政府機関は次いで分離独立せる「国家」として相結合せられたり。
『リットン報告書』
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