小沢一郎と起訴された大久保隆規
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検察、摘発基準下げる、起訴額3500万円、額や時期、疑問の声。
2009/03/25, 日本経済新聞
小沢一郎・民主党代表の公設第一秘書が起訴された西松建設の献金事件は、過去の政治資金規正法違反事件と大きく異なる。起訴額が三千五百万円と従来より低額なうえ、「ヤミ献金」のような裏金でなく、政治資金収支報告書に記載された「表のカネ」の名義を問題にした二つの点だ。
東京地検特捜部が過去に収支報告書の虚偽記載で摘発した国会議員の立件額は、鈴木宗男衆院議員(上告中)約一億円、坂井隆憲元衆院議員(有罪確定)約一億六千万円。そこからは「一億円」の基準が浮かぶ。
日本歯科医師連盟(日歯連)事件では、自民党の政治資金団体を経由して元自民党副総裁に迂回(うかい)献金された三千万円は不起訴処分に。「ほかにも一億円に届かず、着手を見送った事件はあった」(元特捜部幹部)とされる。
■「表のカネ」に踏み込む
「表のカネ」の立件に踏み込んだ検察当局は、収支報告書で政治団体名義を使って会社名を隠す行為を「形式犯でなく、政治とカネの実態について国民を欺く重罪」と強調。ゼネコン各社の聴取を通じ、公共工事の受注で小沢事務所の影響力に期待した献金という悪質性を際立たせ「表のカネを装った裏金」の構図を描く。
しかし、元特捜部検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授は「寄付の名義の問題だけで、寄付自体は隠していない。裏金の寄付とは性格が異なり、処罰価値があるか適切に判断する必要がある」と捜査に疑問を投げかける。
■選挙前の着手
(略)
■「捜査終結できない」
西松建設の裏金を巡る捜査の端緒は二〇〇七年末。献金やパーティー券の購入、盆暮れの裏金など、内偵段階で政治家へのカネのバラマキが浮かび上がったが、政界捜査は難航。政界に流れたカネを証明できる「裏帳簿」がなく、西松側の供述を裏付けることができなかったと言われる。
政界に流れた「西松マネー」は約四億七千万円。特捜部OBは「このまま捜査を終結できない状況になった。適正に捜査しなければ、検察の信頼を失う」と話している。
―――――
>起訴額が三千五百万円と従来より低額なうえ、「ヤミ献金」のような裏金でなく、政治資金収支報告書に記載された「表のカネ」の名義を問題にした二つの点だ。
これまでは1億円以上の「ヤミ献金(裏金)」の場合に起訴してきたが、今回は3500万円の「公表した献金(表金)」について起訴した。
このような突然の変更が疑惑を招くことは当然だ。
>日本歯科医師連盟(日歯連)事件では、自民党の政治資金団体を経由して元自民党副総裁に迂回(うかい)献金された三千万円は不起訴処分に。「ほかにも一億円に届かず、着手を見送った事件はあった」(元特捜部幹部)とされる。
元自民党副総裁とはエロ拓(山崎拓)のことだ。
2004年に発覚した日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、特捜部は1億円の裏献金を受領した自民党旧橋本派(平成研究会)の会長代理だった村岡兼造元官房長官を政治資金規正法違反で在宅起訴し、既に有罪が確定した。
しかし、特捜部は、党の政治資金団体・国民政治協会を経由して3000万円を迂回献金されながら収支報告書に記載しなかったエロ拓(山崎拓)を不起訴とした。
同じ迂回献金でも、橋本派への1億円の裏献金は起訴、エロ拓への3000万円の裏献金は不起訴、小沢への3500万円の表献金は起訴、としたのだから、疑念が残るのは当然だ。
特捜部が立件の「ハードル」(線引き=立件するか否かの境目)を自由自在に変更できるとすれば、特捜部は自由自在に政治家や財界人(ライブドア事件の堀江貴文や村上ファンド事件の村上世彰など)を狙い撃ちできることになる。
したがって、特捜部は、法律の条文に記載されていないことであっても、立件のハードルを厳格に定め、それに則って捜査や逮捕や起訴を行わなければならない。
今回はこの点について大きな疑念が残る。
>元特捜部検事の郷原信郎・桐蔭横浜大法科大学院教授は「寄付の名義の問題だけで、寄付自体は隠していない。裏金の寄付とは性格が異なり、処罰価値があるか適切に判断する必要がある」と捜査に疑問を投げかける。
郷原信郎は次のようにも述べている。
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2009/03/22, 中国新聞
(一部抜粋)
政治資金規正法は「寄付をした者」、つまり外形的に政党や政治団体に金銭の交付、利益の移転の行為を行った者を収支報告書に記載することを義務づけているだけで、寄付の資金の拠出者の記載は義務づけていない。
(略)
全国に数万とある政治団体の中には、政治資金の流れの中に介在するだけで活動の実態がほとんどないものも多数ある。
(略)
寄付名義と資金の出資者が異なっている寄付は山ほどある。法律はそこまでの政治資金の透明化を要求していない。
―――――
>西松建設の裏金を巡る捜査の端緒は二〇〇七年末。献金やパーティー券の購入、盆暮れの裏金など、内偵段階で政治家へのカネのバラマキが浮かび上がったが、政界捜査は難航。
「パーティー券の購入、盆暮れの裏金」の対象は、二階俊博だった。
小沢秘書逮捕の日から付きまとう疑問として、自民党の二階俊博や尾身幸次や森善朗などはどうなのか、という点がある。
特捜部に対し西松幹部らは「ダミーを介した献金やパーティー券購入は、実際には西松の金と相手先に伝えた」と供述しているという。
二階俊博や尾身幸次や森善朗などの各議員側にも、西松建設からの献金だった認識はあったはずだ。
特に、二階に関する裏金問題は金額も比較的大きくて悪質だ。
昨日発行の「日刊ゲンダイ」に分かり易く書いてあった。
―――――
大打撃は小沢民主党だけ
二階経産相おとがめなしの不公平
闇に葬るにはデカすぎる6000万円の裏金疑惑
「日刊ゲンダイ」2月25日号(2月24日発行)
結局、小沢一郎だけを痛打して終結しそうな西松建設事件。現職大臣・二階経産相の裏金疑惑は闇に葬られる雲行きだ。麻生政権は笑いが止まらないだろうが、こんな不公平なことが許されていいのか。
二階大臣の疑惑はロコツだ。逮捕された西松建設の国沢前社長らが完落ちして、裏金のことをペラペラしゃべった。
「盆と暮れに300万円ずつ、10年以上渡した。合計6000万円になる」 「二階さんに1対1の場で渡したこともある。」――
見返りは何だったのか。
本紙が調べただけでも、二階大臣の地元・和歌山で西松建設は6年間で78億円の公共工事を受注している。
小学生でも分かる明白な癒着構造だが、地検特捜部は裏金疑惑を不問に付すというからムチャクチャだ。
「小沢事務所の場合は、西松建設に対する請求書が「証拠」になった、しかし、二階の場合は、請求書も領収書も見つかっていない。裏金だから、領収書がなくて当然だが、証拠がない以上、西松側が渡したと供述しても、二階側に否定されたら立件は難しいという判断で、見送りを決めたようです」(司法関係者)
裏金でもらった方が得するなんて、話があべこべだ。証拠がないなら、早い段階で二階事務所をガサ入れしたり、関係者を呼んで締め上げるのが捜査の常道だろうが、それもしないという。
「自民党には西松から献金やパーティー券で世話になっている議員がゴロゴロいる。二階大臣サイドを強制捜査したら、財務大臣経験者の尾身幸次や首相だった森善朗への西松マネーも調べざるを得ない。検察が動けばマスコミはどんどん書き立てる。それじゃあ政権がもたなくなると、検察は二階ルートの捜査もやめた。今後、疑惑議員の会計責任者から事情聴取することがあっても、それは事件の幕引きのためですよ」(政界関係者)
これじゃあ、政治不信以上に検察不信が高まってしまう。
―――――
以上のように、今回東京地検特捜部が、政治資金規正法違反で小沢の秘書を起訴したことについては、大きな疑問が幾つもあると言わざるを得ない。
何の前触れもなく、政治資金規正法違反の起訴のハードル(線引き)を大幅に下げることは禍根を残す。
私は、政府や自民党が東京地検特捜部に今回の強制捜査をやらせたなどということは有り得ないと確信している。
しかし、私は、東京地検特捜部の中枢が、自分たちの気に入らない政治家や財界人(ライブドア事件の堀江貴文や村上ファンド事件の村上世彰など)を恣意的に狙い撃ちすることは充分に有り得ると考えている。
小沢一郎や起訴された大久保隆規(パチンコ屋の倅)や民主党は、けしからん連中だ。
しかし、反小沢、反パチンコ、反民主、反自民の私が客観的にみても、今回東京地検特捜部がやっていることは疑惑に満ちたことばかりだ。
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郷原信郎の見解
「政治資金規正法違反の立件は困難。この先他に何かなければおかしい。」
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郷原信郎氏
「特捜部が泥縄式に突っ込まざるを得なくなっているなら一体どんな着地点を描いているのか心配だ」
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「ガダルカナル」化する特捜捜査
「大本営発表」に惑わされてはならない
郷原信郎
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